青蓮亭日記

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2009年 01月 26日

ホーローの果て

手に取ったとき、
「何だろう?……鉄?……だよねぇ……?」と思ったこのサビサビのお椀。

正体がよくわからないままその質感に圧倒されて買い、
常連の業者衆が集っている Tさんの露店で披露すると、
「琺瑯だよ!」と、Tさん。

丁寧に扱えば半世紀はゆうに使える琺瑯製品。
白いガラス質がここまで剥げ、鉄の素型がこんなに真っ赤に錆びるまで、
いったいどれだけの年月をどんな風に生きてきたのだろう?

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ベンガラで染まった土器のような、
顔料が剥落した古墳の壁画のようなテクスチャーをながめていると、
長い時間の旅を経て即身成仏した “琺瑯の仏様” のようにも思えてくる。
やわらかくスッとした曲線を描く形にもどこかしら品がある。

全ての琺瑯愛好家は襟を正してこの “琺瑯仏” を拝むべし。
なんちゃって。

(口径:約12cm・高さ:約7.3cm/売約済)

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姉妹品ではないけど、
一緒に買ったこの焼き締め陶みたいな “ゴムのお椀” も正体不明。
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ちゃんとした高台があって……何かの型なのだろうか?

(口径:約10.7cm・高さ:約6.9cm/売約済)

by penelope33 | 2009-01-26 18:18 | 古いもの・古びたもの | Comments(4)
Commented by nagchanpa at 2009-01-26 22:32 x
思わず手を合わせてしまいました。
良い物を見せていただきありがとうございます。
Commented by penelope33 at 2009-01-27 01:16
“琺瑯仏” というのは冗談ですが、 ^^;
ありふれた日用品であっても、
経年変化の作り出す“景色”というのは見る者を圧倒する力がありますね……。
Commented by yakitugi at 2009-02-23 20:03 x
ゴムのボウルは歯科技工士などが使用する、石膏を水で溶く道具です。いろいろ愉しい物がありますね。
Commented by penelope33 at 2009-02-23 20:30
yakitugiさん、御指南いただき、まことにありがとうございました。

全く別のところで仕入れたのですが、
17日付の記事の2番目の画像に写っている小ビンに入った白い粉末も、
歯医者さんが使うセメントだと聞きました。
我ながらあちこちで妙なモノを買っています……。 ^^;
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