2009年 02月 22日
これまで沖縄のやきものを買ったことがなかったが、 この品のことを調べていたときに、 沖縄の古陶磁の特集が載っている『季刊 蕾』(1977年5月号)を読んでいたので、 このつややかで小さな黒釉の徳利を見たときにはすぐにピンときた。 サイズとしては徳利というより小瓶だけれど、 黒と褐色の入り混じった深い色合いと、 3本の輪線がアクセントになっているモダンなフォルムがいいと思う。 釉に無数の星をちりばめた小宇宙のような魅力がある。 沖縄と沖縄のやきものの歴史についてざっくり調べてみた。 (18〜19世紀/高さ:約11.6cm・底径:約5.5cm/御売約) 沖縄の徳利たち(同誌より)。 琉球・沖縄ではおよそ6,600年前から土器がつくられ、12世紀まで土器の時代が続いたという。 12世紀に海上交易が盛んになり、中国から大量に陶磁器が輸入されるようになった。 輸入のピークは14世紀で、 15世紀には東南アジア、朝鮮、日本のやきものも輸入されるようになった。 15〜16世紀には、琉球国内でもいくつかの窯場で陶器の制作が行われていた記録があるという。 1588年に琉球王府が瓦や陶器の制作を統制する「瓦奉行所(かわらぶぎょうしょ)」を設置。 しかし1609年に琉球は薩摩藩の島津氏に侵略され、そこで一時窯業も中断されてしまう。 しかし、尚寧王(しょうねいおう/1589〜1620)が薩摩から3人の陶工を招き、 那覇の湧田窯(わくたがま)で陶器を作らせ、その技術を伝承させた。 このうちのひとりの張献功(ちょうけんこう)が請われて琉球に永住し、 引き続き陶技の指導をした。 また尚貞王(しょうていおう/1669〜1709)の時代に、 中国で3年間修行した陶工 平田典通(ひらたてんつう)が活躍。 国王への献上品をはじめ精力的に作陶し、技術の伝授に努めた。 1682年に、美里村(みさとそん/現 沖縄市)の知花窯(ちばながま)、 首里の宝口窯(たからぐちがま)、那覇の湧田窯の3ヶ所が、「壷屋窯」として統合された。 時代が下り、明治維新によって近代国家の道を歩み始めた日本政府が武力で琉球を併合する。 1872年に琉球藩設置、1879年には清国の抗議を退け「琉球処分」を敢行、沖縄県を設置した。 陶器商人が日本の陶磁器を持ち込み、 琉球王朝の庇護下にあった「壷屋焼」は自由競争の波にさらされるようになったという。 ちょうどほころんだ庭の「一休さん」を。
by penelope33
| 2009-02-22 19:20
| 古いもの・古びたもの
|
Comments(6)
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at 2011-01-29 18:29
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penelope33 at 2011-01-29 20:28
> 鍵コメント at 2011-01-29 18:29 様
いろいろとお気にとめていただき、本当にありがとうございます。 こちらのお品は9,000円です。 王冠のような形のものは真鍮製(金色)のがひとつだけございます。 数字は「2.」で、拡大率は小さいです。 よろしく御検討くださいませ。
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at 2011-01-29 21:22
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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penelope33 at 2011-01-29 21:55
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at 2011-01-30 23:23
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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penelope33 at 2011-01-31 12:58
> 鍵コメント at 2011-01-30 23:23 様
ありがとうございます。 レンズの方の記事の本文に御説明を付け加えましたので、 御覧くださいませ。 レンズの御希望のお品を書き添え、右の青文字の「メール」から お名前と御住所をお教え願えますでしょうか? (送料をお調べいたしますので) または、鍵コメントでメールアドレスを含め御記入ください。 どうぞよろしくお願いいたします。 |
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