青蓮亭日記

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2009年 05月 08日

桃と菱文の印判小皿

このところよく印判の器を取り上げているが、
たまたま出会いが続いているだけで、急に印判が好きになったというわけではない。

印判に限らず、いつも自分が使うつもりで、
かわいい柄・おもしろい柄・おしゃれな文様の器がないかと、
目を皿のようにして皿を見ている(?)。

以前枇杷や桃の実の描かれたかわいい手塩皿(てしおざら/てしょざら)を見つけたとき、
かなり心が動いたのだけど、「口紅」(鉄釉の茶色い縁)があったので買わなかった。

これは、妙に写実的な桃の絵と和のイメージの菱文の組み合わせがおもしろいと思い、
「口紅」もないので買ってみた。
緑色の印判皿を買うのは初めて。

(明治期/直径:約11.3cm/御売約)

Small 'Imban'(old printed)dishes with peach & rhombus pattern

I like plain tableware, but on the other hand,
always looking for the ones with lovely or cool pattern, mostly blue and white.

Kitschy combination of real peach illustration & Japanese traditional rhombus pattern.
My first buying 'Imban' tableware printed green.


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女優の高峰秀子さんは和食器のコレクターとして知られ、
'82年から'86年にかけて東京・有楽町で器の店を開いていたそうだ。
大きな部屋が九つあった邸宅を三部屋の小さな家に建て替えたときに、
膨大な数の器を処分し、厳選したものだけ残したという。

『骨董屋さんに聞く和食器の見かた』(光文社 刊)というムックで
愛用の染付の器を披露しているが、
古伊万里の菖蒲文の蓋茶碗や銀杏文の蕎麦猪口といい、安南焼の大皿といい、
どれも上品な呉須(藍色の染料)の色、すっとのびやかな線の図柄で、
「これは毎日使っても飽きないだろうなぁ……いい器だなぁ……」と思うものばかり。

グラフィックデザイナーの田中一光氏等との鼎談で、
高峰さんは「印判というのは飽きますね。一時少し集めてみたけど、
もう、すぐにいやになっちゃいました」と語っている。
また、「茶色い口紅っていうんですか。縁のところについてるのは高級とかっていうけど、
あまり美しいとは思えない」とも。

私自身は、飽きやすい印判だからこそ、
自分の気に入った図柄を厳選すればいいんじゃないか、
そして「集めなければいいんじゃないか」と思っているが、
「口紅」については高峰さんと同感で、なんだかくどい気がして避けてしまう。

もちろんこれは好みの問題で、
「口紅」なんて気にしない方はそれだけ選択の幅が広がることになる。

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わずかなかすれやにじみはあるけれど、5客とも比較的よい状態。

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裏に小さなひっつきのあるものがひとつ。

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今日のおやつ。亀屋の最中と冷たい三年番茶。
下に敷いてあるのは庭の枇杷の葉。

子どもの頃は、アイス最中は別として、
最中なんてもらってうれしくないお菓子の最たるものだった。
あるとき、会社で配る川越土産にふと亀屋の最中のことを思い出し、
初めて自分で買ってみたら、小振りでかわいらしくお茶うけにちょうどよかった。
「ああ、私も歳を取ったもんだねぇ……」と思った。

by penelope33 | 2009-05-08 18:44 | 古いもの・古びたもの | Comments(0)
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