青蓮亭日記

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2009年 09月 11日

シルバープレートの八角トレイ

世田谷在住の老西洋骨董商の自宅を訪ねたとき、
壁に飾られたピューターの皿がみなピカピカなのを目にして一瞬驚いたが、
すぐに「これが西洋骨董の本筋なんだなぁ」と悟った。

西洋の器物を日本人が独自の「見立て」によって使い始めたのは、
17〜18世紀のオランダ・デルフトの真っ白なクリーム入れを盃に見立てた
江戸期が最初だろうか?

西洋骨董から、侘び寂びに通ずるたたずまいや末枯れた質感のものを選び取る風潮は、
主に年配の男性が(といっても推測だけど……)
黒く酸化した鉄やピューターなどの道具を蒐集していた昭和の時代より、
現代のほうが確実に裾野が広がっているのではないか。

たぶんこのブログを御覧の皆様には、ピカピカのシルバーよりも
少々さびれたシルバープレートのほうが好きだという方が多いのでは?
……と想像している。

(イギリス/19世紀末〜20世紀初め/縦:約27.5cm・横:約36.5cm・高さ:約1.4cm/御売約)

シルバープレートの八角トレイ_f0151592_19513489.jpg




シルバープレートの八角トレイ_f0151592_19514780.jpg

下地の真鍮の色が強く出過ぎるとシャンパンゴールドのような色になり、
それはそれで落ち着かないのだけれど、このトレイは絶妙の色と質感。

シルバープレートの八角トレイ_f0151592_19521223.jpg

裏側の画像( ↗ )が実際の色味に一番近いかも。

シルバープレートの八角トレイ_f0151592_19522188.jpg

カップ&ソーサーを2客置ける大きさ。

シルバープレートの八角トレイ_f0151592_19515944.jpg

この八角形の金属をじぃっと見ているうちに思い浮かんだもの、
それは昔好きだった萩尾望都『トーマの心臓』という漫画で、
主人公の少年に深いトラウマを与える悪魔的な上級生がかけていた八角メガネ……。

もうホントに長い間読んでいなかったのに、まったくどんな心の隙間に潜んでいたのやら。

ネットで『トーマの心臓』と検索すると、
“ボーイズラブ” にはまっている女の子たちの
ドイツの男子寄宿学校生風のコスプレ写真がたくさん出てきて、
この作品をリアルタイムに読んだ世代としては、
声を大にして「否(NON!)」と言いたくなる
(たま〜に頑張って似せている人もいて「おお〜っ」と思うが)。

『トーマの心臓』と『ポーの一族』は早急に読み返さなければ気がすまなくなってきた。
実家でホコリだらけになってあるんだけどなー。
古本で買うかな……。

by penelope33 | 2009-09-11 20:05 | 古いもの・古びたもの | Comments(10)
Commented by au_petit_bonheur at 2009-09-11 22:52
リネンの上のトレイがいい感じですね〜。
毎日なんだか惹かれる物が続いて困る。困る。
ところで、「トーマの心臓」も「ポーの一族」も
ありますよ。何セットか(何故?)
Commented by penelope33 at 2009-09-11 23:45
リネン類ってホントに持っていないものですから、
例の大麻の布なんですけど、“表情” があるので重宝しています。

何セットって、それはもしかして拾いもの……?(笑)
今度お借りしたいです(もしかしたら買わせていただくかも)。
どうぞよろしくお願いしますっ。
Commented by maamaahuuhuu at 2009-09-12 01:20
いましたね!八角眼鏡。わずかな登場ながらインパクト大のキャラクターでした。物語の面白さは勿論のこと、「トーマの心臓」や「ポーの一族」に出てくるギムナジウムって女の子が想像(妄想?)するイメージで良かったですね。(実際は男ばかりのムンムンに汗臭い集団なんでしょうけど)
Commented by penelope33 at 2009-09-12 02:05
ままふふさん(と呼ばせていただいていいでしょうか……?)ったら、
御存知でしたか、あのサイフリート・ガスト!

確かに現実の男子校とは遠く離れた世界だと思いますが、
深い精神性がありましたね。

近作の『残酷な神〜』は途中までしか読んでいなかったのですが、
萩尾さんは“神学校に行かなかったユーリの話” と語っているそうですね。
Commented by maamaahuuhuu at 2009-09-12 12:19
漫画好きなので。
「残酷な神~」の方は読んでいて少しずつ生爪はがされるような痛みの伴う話でしたね。最後まで読むのがしんどかったです。
Commented by penelope33 at 2009-09-12 12:42
しんどいですよね〜、あれは……。
萩尾作品で最長編なんですよね。
あれを還暦前に書き上げた作家としての姿勢や気迫がすごい。
Commented by muu at 2009-09-13 21:45 x
萩尾望都、自分のは全部処分してしまったのですが、
姪(今年二十歳)が集めてるので借りてます。
最近のは読んでないけど、読んでみたいですね。
Commented by penelope33 at 2009-09-14 07:39
muuさん、こんにちは。

世の中には膨大な種類の漫画があるのに、二十歳の姪御さんは
あえて萩尾望都を選んで読んでるんですねー。
すごいなー(お母さんや叔母さんの勧めでしょうか……?)。

私は23で実家を出て以来、
ほとんど自分で漫画を買わなくなったのですが、
実家に帰ると兄が買った『残酷な神〜』があったりして(笑)。

ひさしぶりに長編に没頭してみたいですね。^^
Commented by muu at 2009-09-21 21:43 x
それが仕込んだわけじゃなくて、姪自身でたどりついたようです。
「24年組」とか言って。おたくなんですよ。
姉は最近は「聖おにいさん」とか買ってます。
Commented by penelope33 at 2009-09-22 00:03
24年組ですか!それはまたすごい!(笑)

Amazonのレビューでも
「母子で萩尾作品のファン」とか書いてあって、なんだか感慨深かったです。

実は先週の金曜日に『トーマの心臓』の文庫本を買って読んだのですが、
続編の『湖畔にて』と番外編の『訪問者』、
それと原型ともいえる『11月のギムナジウム』も読みたくなってきて……。

『聖おにいさん』、読み出したら私もハマりそうです。
私は一時的に『稲中卓球部』が好きだったことがあります(笑)。
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