青蓮亭日記

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2011年 01月 03日

高峰秀子『女が階段を上る時』

このブログ右下の「つぶろぐ」が途絶えていることからもわかるように、
最近はDVDや映画を観ることが極端に減っていた(私だけでなくZOOも)。

昨年末はひさびさに「お正月は小津映画でも観よう」と話していたのだけど、
高峰秀子さんの訃報を聞き、どちらからともなく
女が階段を上る時』(監督:成瀬巳喜男)を観なくちゃということに。

年末に年輩の照明マンのKさんから
「女が階段をナントカっていう映画で助手をやったよ」と聞いて、
ちょうどまた観たいなと思っていたのである。

元日の夜は小津の『早春』を観て、昨夜は『女が〜』を観た。

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高峰秀子という女優の真価を実感したのは、成瀬映画を観るようになってから。
家族のしがらみを捨ててひとり暮らしを始める『稲妻』の末娘と一緒に泣いた。

『女が〜』の高峰秀子の役柄は、
夫を交通事故で亡くし、銀座のバーの雇われマダムをしながら、
母、妻に逃げられた兄と病気の子どもを経済的に支える、気丈で潔癖な主人公・圭子。

子役時代から何人もの扶養家族を持ち、
親族をはじめとする関係者からひたすら金銭目的で利用され続けたという
高峰秀子にあて書きしたような役だ。

洋画家の梅原龍三郎が初めて彼女の肖像画を描いたとき、
実際よりもつい眼を大きく描き過ぎ、似ていないと何度も描き直し、
実は眼が大きいのではなく「眼光」が強いのだと悟ったという。
その独特の「眼力(めぢから)」と凛とした精神性が放つ美しさが堪能できる一作と言える。

経営者に「地味すぎる」とケチをつけられる縞の着物から、
夜の女が似合いすぎる淡路惠子のきらびやかなドレスまで、
衣装を高峰秀子が担当しているのも見所。

この作品が「高峰秀子自薦十三作」の中に挙げられていると知り、深く納得。

余談になるが、前夜に観た『早春』で、
淡島千景の友人を演じる中北千枝子がとても印象深かったが、
『女が〜』のほうでもバーの女給のひとりとしていい味を出していた。

この他、華僑の経営者役の山茶花 究他、主演級からバイプレーヤーまで贅沢なキャスティング。

彼女が経営していた器の店の情報がネット上にあるかなと思い、
「高峰秀子 染付 器 店」で検索したら、自分の記事がトップになっていた。

以下は『骨董屋さんに聞く和食器の見かた』(光文社 刊)というムックより。

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「体調を崩して入院したところ肺がんとわかった」という報道を読み、
劇中、胃潰瘍で血を吐いて倒れた「圭子」と重なった。

御冥福をお祈りします……。

by penelope33 | 2011-01-03 20:52 | 観る・聴く・読む | Comments(4)
Commented by maamaahuuhuu at 2011-01-04 00:37
青蓮亭さん、あけましておめでとうございます。
私も年末に高峰秀子の訃報を聞いてびっくりしました。
「女が階段を上がるとき」は中村雁治郎のやらしい関西親父ぶりが
好きです。
Commented by penelope33 at 2011-01-04 12:26
> maamaahuuhuuさん

あけましておめでとうございます。
反応してくださってありがとうございます(笑)。

雁治郎、私も好きです。
『小早川家の秋』での雁治郎も好きなんですよね〜。
Commented by うな茶漬け at 2011-01-05 10:33 x
父も高峰さんのファンだったようです。
わたしはどちらかと言うと知的なエッセイストとしての高峰さんの方が印象に残っていて、彼女の文章も好きでした。
骨董好き、中島さんと旧知の間柄だったことなどは知りませんでした。
「良き昭和」がますます昔語りになっていくようで寂しいですね。。。
Commented by penelope33 at 2011-01-06 12:01
> うな茶漬けさん

お父様の世代ですと、まさに昭和を共に生きてきた女優さんなのでしょうね。

私も、見ている主演作・著書はごくわずかなんですけど、
家にあるDVDだけでも少しづつ見たいですね。


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