2015年 06月 04日

小村雪岱 団扇絵 木版画(雲母摺)『月』

小村雪岱の団扇絵 木版画(エスタンプ)・『月』。

雲間から漏れた月の光が松葉の散った地面を照らす様子、
それをながめる、いかにも雪岱好みの中性的な(興福寺の阿修羅王のような)女性が描かれている。

これを見つけたときには “私物化” も考えたけれど、
今は、我が家よりもこの版画がもっと似合うお宅で、額装して飾っていただければと思う。

雪岱の団扇絵の版画が制作されたのは、昭和17〜18年頃と昭和30年代だと聞く。
また近年も復刻版が出版されている。

雲母摺というのは木版画の華飾技法で、
雲母(きら=雲母の粉末)を混ぜた絵の具を用いて、文様を彫った木版で手摺りしたもの。

また、「エスタンプ」とは、
アーティストが版画にすることを意図しないで制作された作品を原画とし、
作者または遺族の了解を得て、版画の技法で第三者が制作したもののことをいう。

絵画や版画(大正以降の『新版画』)の相場の知識がないので、
価格についてはちょっと検討中ということで。

(年代は昭和30年代?/用紙のサイズ 縦:273mm・横:311mm/御売約)

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本来のエスタンプという用語はフランス語で「版画」と言う意味だったが、
近年では日本でも「エスタンプ」という呼び方が普及しており、世界共通語になっているそうだ。

エスタンプに入っているサインは、
遺族(財団)や刷師のサインが入ったもの (遺族サイン・刷師サイン)、
原画自体にあったアーティストのサインがそのまま版画として刷られたもの(版上サイン)等。

(以上は、こちらのサイトより引用させていただいた)。

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この版画には、「雪岱」という印や版元の印、エディションナンバーが入っていない。
しかし、「エスタンプ」の定義を考えると、
それらのものがない場合、市場価値が下がることはあるかもしれないが、
一概に「贋物」とはいえないのである。

版画のクオリティからして、
きちんとした版元(おそらく高見澤研究所)で制作されたものだと考えている。

古物や絵画を愛でる愉しみを感性豊かな文章で綴っておられるミケアさんのブログ『三毛庵的生活』で、
同様に印やエディションナンバーのない『月』のエスタンプのことが書かれているのを知り、驚いた。

私が持っている『月』は紙のシワなどがあるので、
いわゆるB品としてはねられたものが流出したものかしらとも考えたのだけど、
ミケアさんのブログ記事を読むと、
試し摺りが関係者の手に渡り大切にされていたケースもあるようだ。

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       裏側。

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       右上に小さな折れ。

ちなみに、近年刊行された『雪岱 うちわ繪八佳』 は、
浮世絵の復刻版で有名な高見澤研究所による木版画8枚セット・帙函入り・限定280部(300,000円)。
裏面にエディション、高見澤の印が入っている。
オリジナルは、研究所の前身である高見澤木版より刊行されたもの。

Yahoo!オークションで、1点18,000円〜25,000円で出品されている。

個人的には、『うちわ繪八佳』の中で『月』は、『蛍』『雪兎』に次いで好きな作品。

また、こちらを見ると、昭和20年以前の状態のよい団扇絵の版画には
120,000〜250,000円の値段がつけられている。



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by penelope33 | 2015-06-04 23:09 | 古いもの・古びたもの | Comments(0)


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