青蓮亭日記

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2015年 06月 16日

『点店』 〜 中央区の3店合同「古道具展」〜

中央区の三つの古道具店『N° CONCEPT』『MAREBITO』『書肆 逆光』を点と点で繋ぐ「古道具展」、
『点店』が12日(金)から開催されています。

会期:2015年6月12日(金)~21日(日)

会期中の営業日時は、各店で異なります。

点店Facebookページ、各店ホームページより御確認ください。


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*2015年11月1日(日)〜8日(日)開催の『点店 2』のお知らせはこちら

*2016年6月9日(木)〜12日(日)開催の『点店 3』のお知らせはこちら

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● N°CONCEPT(11:00-21:00) 【会期中無休】

 http://www.no-concept.info/index.html


● MAREBITO (13:00-20:00)【14(日)のみ13:00-18:00、21(日)はお休み】

 http://mare-bito.com


● 書肆 逆光(12:00-19:00)【会期中無休】

 http://gyakko.blogspot.jp

 [共同展示]● 教草(古裂・古布・染織関連文献を展示販売)http://oshiegusa.com/exhibition/

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『No CONCEPT』の兼子さんが、御自身のブログこの展示会の案内記事で、

「石ひとつ、錆びた釘1本 でもいいのです。
 それが、連れていってくれるのなら。
 どこへ? と問われれば、
 どこか(いつか)へ、あるいは、どこへでも、と答えるしかありませんが、
 私は ずっと そういう『入口』『索引』『導調』を探し、求めてきました。」

……と書いておられます。


上掲の小さな4つ折りのフライヤーを見かけ
(1,000部印刷したところ、会期前にほとんどはけてしまったそうです)、
「あ、いつのまにこんな “シンジケート” が……」という驚きとともにページを繰り、
読み進めていくうち、すっかりこの企ての手中に引き込まれてしまいました。

“入魂の” などと書いたら「やめてよ〜」と言われそうですが、
まず『MAREBITO』古村さんのデザインワークが素晴らしいと思いましたし、
『書肆 逆光』の鈴木さんによるテクストは、静かな語り口にペーソスをにじませつつ、
鮮やかにイマジネーションを喚起してくれます。

『教草』さんを含めた各店の品々の小さなキリヌキ図版がまた、
素っ気ないようでいて古物独特の味とオーラをそれぞれに放っており、
いつまでも目で追ってしまいたくなるのです。

『点店』というネーミングは兼子さんによるもので、
「その原案は『点々店』あるいは『点店展』であり、それは『・・・』(≒ and so on)を含意し、
『尚も続く』という、継続や変化への意志も込めたもの」なのだそうです。

兼子さんの言葉を借りれば、この印刷物自体が「入口」「索引」「導調」になっているんですね。


残念ながらこのフライヤーはもうないので、
このブログを御覧になり、御興味を持たれた方は、ネット上でどんどん拡散してください。

そして、ぜひ3店に足を運び、東京の古くて天井の高いビル独特の空間を愉しみながら、
自分が「連れていってもらえそうなモノ」を見つけてみてください。


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14日(日)、仕入れの帰りに3店をハシゴしてきました。




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【N° CONCEPT】

2012年にOPEN。店主は、海外旅行好き・古物好きのグラフィックデザイナー・兼子真也さん。

NYのおしゃれな路面店(NY、行ったことないんですけど……)のようなフォトジェニックな外観ですが、
近づいていくと、山野草や苔、お隣りさんからもらったという野菜の苗といったグリーンが
ガラス窓の前に並んでいて和みます。

兼子さんの琴線に触れた、
国籍も年代もジャンルもさまざまなモノたちがギッシリ詰まったディスプレイが圧巻です
(開店当初は、あまりにも「非売品」が多くてお客様に怒られたとか……)。

画像に写っているだけでも、古今東西の陶磁器、ヴィンテージカメラ、
西欧のテーブルウェアやキッチンウェア、亀倉雄策デザインの1964年東京五輪ポスター等々。

奥には、ヴィンテージ・クローズやアクセサリーなどの「女子アイテム」のコーナーもあり、
ポール・マッカートニー愛用の「ヘフナー(Höfner)ヴァイオリン・ベース」のコピー・モデル
(左利き用+右利き用)や鉄道模型等まで、普通だったらカオス化しそうなハグチの広さですが、
あくまでも整然と見えるバランス感覚と構成力は流石。

ほとんどのモノに、美術館や博物館で展示品に添えられているような
「品名/国籍/年代/価格」のキャプションが付属しており、
店主に気軽に声をかけられない内気な人でも、一通りの情報がわかるのが嬉しいですね。

ヴィンテージのソファに座ってくつろぎながら、古いものをじっくり吟味できる素敵なお店です。


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【MAREBITO】

上の画像・中央に見えるのは、面妖なティルトUP&DOWN(=上下の首振り)をするインドの扇風機。

『大江戸骨董市』や『ドーの古道具市』等で
店主の古村 太さん(ブログはこちら)にはよくお会いするのですが、
ここにお邪魔するのは7年前の最初の催事・『フランス・北欧古道具展』以来(スミマセン!)。

店主の古くからの友人のコピーライター・高階經啓さんの語る『MAREBITO史』はこちら

今回、同じビルの2階に移転されるということで、「徒歩5階」の一室をひさびさに訪ねました。

2階のリノベーション、引っ越し作業と、「さよなら『徒歩5階』FINAL SALE」を同時進行でこなし、
はたまた21日には大江戸骨董市出店、夕方から最後のイベント開催と、殺人的なスケジュール!

平時と違って無造作に並んだ大小の古物たちをじっくりながめていくと、
「これは!」という逸品が結構残されており、そういう品々は大抵店主のお気に入りなんですよね。

壁にディスプレイされたベッドマットのスプリングの微妙なサイズを不思議に思って尋ねると、
元はもっと大きな「ベッドマットそのもの」だったそうで、
布地を裂き、木枠を解体し、中綿を取り出し、
そしてわざわざ工具を買って鋼鉄のスプリングをバキッと割ったとか。

『MAREBITO』さんは、どこかチャーミングだったりユーモラスだったりする
オリジナルの照明や小さなマシーン類を売っておられるのですが、
改めてこの場所に身を置き、残っていた家具や什器をよくよく見ると、
大抵どこかしら何らかの手が加えられています。

茅場町 ギャラリー&スペース『MAREBITO』は、
ひとかどのグラフィックデザイナーになった「古村(元)少年」が
無心に古物をカスタマイズする「工房」であり「城」であったのだなぁと、改めて実感。

2階に移転した後は、「ギャラリーとしての機能を強化したい」と語る店主でありました。
移転後の NEW『MAREBITO』も楽しみですね。

日曜の午後で、1階の『串焼き 無法松』のシャッターが閉まっていたのですが、
平日の夕方に『MAREBITO』に行き、帰りに『無法松』で一杯というのもよろしいかと。


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【書肆 逆光】featuring 【教草】

「ですます調」の穏やかで端正な文章が、
筆者の脳内の無数の引き出しから舞い降りてくる絶妙の固有名詞や、
視点の低空・蛇行飛行と唐突な飛躍によって、軽やかにねじれていくカタルシス。
店主・鈴木 学さんのブログ『逆光手帖』の注目度は、間違いなく赤丸急上昇中だと思います。

今回のこの3店合同企画の発案者でもある鈴木さんは、大手書店に長年勤務した後、
1年前にこの古書と古物の店をOPEN。

『大江戸骨董市』出店の際、古書と一緒に並べていた古物が、
いかにもいまどきの古書店が置きそうな雑貨的なものでなく、渋い「ド骨董」だったのが印象的でした。

さらに、店舗情報と店主の矜持を示す古物たちが12点、
1色/4色で印刷された「点取り占い」のような薄く細長い紙片に心惹かれるものがあり、
いつかお店を訪れてみようと思っていました。

骨董・古道具店は、行ったから必ず何か買って帰れるかというと、なかなかそういうわけにもいかず、
そんなことが度重なると、店主から「またこいつかよ」と思われそうな気がする小心者ですが、
この店には幸い100円の文庫本もあります。

最近は電脳密林書店の古書部門に頼りっぱなしでしたので、
ひさびさにリアル古書店に足を踏み入れた私はすっかり興奮してしまい、
講談社学術文庫の『現代の俳句』でしか触れたことのなかった三橋敏雄の句集、
大岡昇平のエッセイ集、九州陶磁文化館の企画展図録『長崎の陶磁』といった本を嬉々として購入。

もちろん「骨董歴20年弱」という鈴木さんの選ぶ品々も興味深く、
JUNKから古陶磁、7〜8世紀のペルーの機織り道具といった古代の品まで、
一本筋の通った選択眼を感じます。

骨董市や『BRUTUS』の骨董特集号がきっかけで来店される方が多いせいか、
「本を見ていく人が少ない」と嘆く店主ですが、
これから少しづつ「古書と古物」という両輪がリンクしていくのではないでしょうか。

映画好きの方は、
京橋/宝町の『東京国立近代美術館フィルムセンター』での映画鑑賞の前後に立ち寄り、
シネフィルの店主と語り合うのも一興かと(映画関係の本もあります)。

今後は「書肆(=版元)」としての展開も楽しみにしております。

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『教草』=印旛真由美さんの品々を最初に拝見したのは、昨秋の『西荻骨董好きまつり』の2日目(日曜)でした。

この催事は、土曜はベテラン業者さん(註:弊店は、たまたま空きが出た際に2階に滑り込んだだけ)、
日曜は比較的最近開業された業者さんが多いのですが、
従来の「着物・古布」の業者さんとは少し違った匂いを感じました。
抑えたトーン、洗練された品揃え、布以外の古物の設い。

その後、『ドーの古道具市 その四』で御一緒し、
英文併記のスタイリッシュなサイトも拝見して、「タダ者ではないな」と。

それもそのはず、印旛さんは、M美大卒業後、学芸員をされていたそうです。

美しいものを美しいと感じる感性と、それを学術的に特定・分類・分析する能力を併せ持ち、
他者に効果的にプレゼンテーションすることのできるプロフェッショナルだったわけですね。

まだそういった経歴を知らずにいた『ドーの古道具市』出店時に、
「(サイトの)文章、すごく丁寧に書いてますよね〜」とお話ししたところ、
笑顔で「真面目なんです」との答えが。

確かに仕事に対する姿勢は真面目そのものですが、
通常、生真面目な人はあまり自分のことを「真面目なんです」とは言わないものです。
彼女の底知れぬキャラクターの片鱗を垣間見た気がしたものでした。

古いテキスタイル、ファブリックには惹かれるものの、相変わらず門外漢のままの私ですが、
マテリアルとしての古布・古裂をここまでこだわり抜いてセレクトする業者さんって、
なかなかいないんじゃないかなと思います。

そのように話したら、「もっと言って!もっと言って!」と、いつになく昂揚した様子でした。
どこまでも愉しいヒトです。


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『点店』、会期も半ばを過ぎましたが、
日々展示替えや品物の補充もあるそうですので、御興味を持たれた方はぜひ。

「まるでスタンプ・ラリーみたいだ」と、
丹下左膳余話 百萬両の壺』の大河内傳次郎の声色でひとりごちてみたくもなりますが、
皆様は大人でしょうから、「大人の事情」を鑑み、
脳内で各店印をペタンペタンと押してすませるようにしてください。



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by penelope33 | 2015-06-16 23:34 | 点店 | Comments(0)
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