2008年 02月 03日
骨董市に出店し始めた頃、「子ども茶碗」を売っていたことがある。 東京芸術大学教授の北田正弘氏によると、 飯茶碗に子ども向けの絵柄が描かれて売られるようになったのは、昭和の前期の中頃 (北田氏の分類では「昭和前期」は昭和20年までなので、昭和10年前後)で、 子ども用の着物絵柄がつくられるようになった時期とほぼ一致するという。 (御売約) それ以前は、誕生から100日(地方によっては120日)の祝いである 伝統的な「お食い初め」に、漆塗りの食い初め碗が使われていた。 牛若丸など昔話の絵柄、野球もの、井桁模様や鯛など和の趣のある柄、 ごく小さく上品な動物のぬいぐるみの絵、 以下の画像のようなさまざまな乗物の絵柄の子ども茶碗を並べておくと、 「懐かしい〜」とおっしゃる年配の方から「カワイイ!」と声を上げる若い方まで、 大勢の方が立ち寄り、話がはずんだ。 そんな中に子ども茶碗のコレクターの方がいて、 戦時中のものも含めてありとあらゆる絵柄を集めたけれど、 「どうしても潜水艦の絵柄だけが見つけられない」とおっしゃっていた。 そのうちに売れ行きも落ちてきたので、乗物絵柄だけを残して業者市で売ってしまった (素朴な絵柄の野球ものにも未練があったが)。 左の機関車柄は最近つい買ってしまったもの。 右の電車柄は一番のお気に入り。 「鉄子」(=鉄道好きな女子)的な資質はあるのだが、車種などはさっぱりわからない。 それぞれの裏側。 自動車はわかるとして、左の犬は何……? ともに脱力したタッチがたまらない。 左はJALのジェット機、右のプロペラ機は米軍機か? プロペラ機の裏はヘリコプター。 ジェット機の裏側はいきなり人工衛星である。 世界初の人工衛星・ソ連の「スプートニク1号」が話題を集めたのが1957(昭和32)年。 左はモノレール。 上野公園に日本最初のモノレールができたのが、やはり1957(昭和32)年。 右の船は、1932(昭和7)年に竣工し、 北海道の稚内と当時日本領土であった樺太の大泊の間を結んでいた 稚泊連絡船で使用されていた「宗谷丸」だろう。 戦後は青函連絡船に転用された。 モノレールの裏はプロペラ機。 実はこれを見て、最初表側のモノレールは羽田〜浜松町間のものだと思った。 宗谷丸の裏側はペンギン。気がきいている。 自転車競技。 侘びた絵である。 こちらのページのジープに乗った進駐軍兵士の絵柄のものは1,200円。 ところで「乗物づくし」といって思い出すのはこのアルバム。 一番最初の(旧譜)CD化はワタクシが担当いたしました。 番外篇。 東京タワー(御売約)。1959(昭和34)年竣工。 『ALWAYS三丁目の夕日』('05)で風景として描かれた建設中の東京タワー。 あまり知られていないが、 建設中のさまざまな困難を描いた『超高層のあけぼの』('69)という記録映画風の劇映画がある。 最近 “家庭内アーカイヴ化” されたので部分的に観たが、意外な豪華キャストにびっくり。 ************ 追記: 愛知県多治見市に、「金正陶器」という子ども茶碗のメーカー(!)が運営している 「KIDS LAND こども茶碗博物館」という博物館が。 このサイトによると、子ども茶碗の起源は大正時代に遡るらしい。 古美術・骨董 アンティーク・レトロ雑貨 ブログ・ランキングに参加しております。 上の「古美術・骨董」「アンティーク・レトロ雑貨」という文字を クリックしていただきますと、ポイントが加算されます。 お気が向かれましたら、よろしくお願いいたします。
by penelope33
| 2008-02-03 20:20
| レトロ・ポップ
|
Comments(10)
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Awavi。
at 2008-02-03 20:59
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おお〜、こんなジャンルがあるんですね〜。
“ALWAYS”な匂いが漂っていて良いですね。 たぶん昭和40年以降〜のヒーローモノや マンガのキャラクターが描かれた子供茶碗は良く知っていますが、 戦後間もなくの頃のモノはあまり気にした事がありませんでした。 いい歳した人間がこれでごはん食べるわけにはいきませんが、 東京タワーや乗り物、自転車、・・コレクション性もありそうで、魅力的ですね。
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penelope33 at 2008-02-03 22:46
子ども茶碗に目を向けるようになったのは、
『骨董の器でいただきます』 http://www.amazon.co.jp/骨董の器でいただきます。-森田-直/dp/4473020576 という本で、 「来客時に、チキンライスやオムライスなどの“子どもっぽい料理”を、 いろいろな絵柄の子ども茶碗に取り分けて楽しむ」 という提案を見たのがきっかけでした。 こんなお茶碗の価値がわかったり、懐かしく思えるのはオトナですからね。 コレクションするだけじゃなくてどんどん使ってください(笑)。
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びっき☆
at 2008-02-04 00:54
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僕も少し、お茶碗を持っていますが…
それはみんなアニメの主人公のものだったりします。 こんな味のあるお茶碗はうちにはありません。 東京タワーのお茶碗なんてなんともいえない雰囲気です。 愛知県多治見市には友達も住んでいますので是非、「KIDS LAND こども茶碗博物館」へは行ってみたいです。
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penelope33 at 2008-02-04 01:08
子ども茶碗、サザエさん&マスオさん御夫妻から買ったこともあったんですよ。
おふたりが富岡八幡宮に出店し始めて間もない頃だったようです。 それから月日が流れ、某SNSで言葉を交わし、 「ああ、あのご夫婦だ……!」とびっくり。 東京タワーのはふたつありますし、 このお茶碗たちはもう“店頭”には出しませんので、 いつかびっき☆さんが東京にお越しになるとき、 まだ気になるようだったらお知らせくださいね。
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とうさい
at 2008-02-04 12:46
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おお、この右の電気機関車は
http://ja.wikipedia.org/wiki/国鉄EF58形電気機関車(コピペですいません)ですね。お召し列車等で活躍した名車です。 車種にこだわったらキリが無い事は自ら体験済みですので(笑)、鉄子素養を大事にあたためてください。 うる星★やつらのヴァージンVS、担当されてたのですね。だいぶ後になってからあがた森魚さんが絡んでたと知りました。
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penelope33 at 2008-02-04 14:13
おお、実在の車種だったのですね!
しかも「流線型を取り入れた秀逸でなおかつ独特の逞しさを感じさせる車体フォルム」で、 「ゴハチ」という愛称まであったとは(デフォルメしててもカワイイですもんね)。 流石、とうさいさん。ありがとうございました。 あがたさん、なんせ当時は「A児」ですからね。 御存知の方のほうが少ないですよね(笑)。
ごぶさたしてました。雪はだいじょうぶですか?
ひー。これカワイイですねー カワイイけど、大人っぽくもありステキです。 飛行機の背景がひとつだけブルーですね。 わたしは、子供のころ、さるとびえっちゃんかパーマンか魔法使いサリーか そのあたりのお茶碗だったような記憶があります。 すごい昔の人間だ・・・ (笑)
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penelope33 at 2008-02-04 16:30
るーさん、こんにちは。
昨日は雪で仕入れができなかったのがイタかったです。 今週は相方がロケでいないので、 例によって雪にビビッて外に出ないヤマコと一緒に家にこもっておりました。 ブルーの空、ハワイ上空あたりなのかもしれません(笑)。 私の子どもの頃のお茶碗はどんなだったかなぁ……? ハンカチがパーマンで、 枕が『サインはV』(望月あきらの絵)だったのは覚えているのですが (ねだった記憶はないんですけど……)。
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Awavi。
at 2008-02-04 21:45
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penelope33 at 2008-02-04 22:30
お〜っ、それはよかった〜!!
感動の再会、ですね(笑)。 |
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古道具屋「ロータス・ブルー(青蓮亭)」店主のつれづれ。家族は映像ディレクターの相方ZOO(2021年9月13日、横行結腸がん+肝転移により58歳で逝去)とキジトラ猫のヤマコ(♀/2022年9月23日、16歳で他界)。ブログ主は、膠原病類縁疾患の『シェーグレン症候群』のため療養中です。 by 青蓮亭 カレンダー
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