2008年 03月 25日

籐の買い物カゴ

「昭和の奥様」たちが使っていた典型的な籐の買い物カゴ。
私の実家にも全く同じものがあったので、
これを見つけたときは思わず「懐かしい〜!」と声が出た。

改めて見ると、丸みをおびた形がなんともかわいらしい。
若い女の子に「北欧のものです」と言ってみようか。

(昭和30〜40年代/幅:32.5cm・奥行き:20cm・持ち手までの高さ:25cm/売約済)

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「昭和の奥さん」のひとりであった母は、
片付けとか収納といったことがおそろしく不得手だった。
(身体の弱い母の言い分では「三度の食事の支度で精一杯」だったとか)。
そのあたりが割合と得意な私は、ひとり暮らしを始めてからも、
年に2度程実家の片付けを自主的にやっていた。
親孝行というより、
たまに帰る古い家が散らかっていると、なんだかみじめな気持ちになったから。

画像のものと同じ買い物カゴはずっと食器棚の上でホコリをかぶっていて、
何度かきれいにした記憶があるのだけど、いつのまにかなくなってしまった。
今にしてみれば、あのカゴをちゃんと “保護” してあげればよかったという気もするが、
持ち歩くにはかさばるし、本などの収納には角形のカゴを使っていたし、
自分の狭いアパートに持ち帰ってももてあましてしまうと思ったのだろう。

珍しく女性らしいアイテムが登場したのに、また話がシブい方向に行ってしまうのだが、
カゴに関しては苦笑いしたくなるような思い出がある。

骨董に興味を持ち始めた頃、
そういえば母方の祖父の釣魚籠(つりびく)があったなと思い出し、
「今度(実家に)行くときにあの魚籠、持って帰るね」と電話で母に伝えたら、
あろうことかその魚籠に父がニスを塗ってしまったのである。
老舗の「竹虎」というメーカーの魚籠で、とてもいい感じの飴色になっていたのに。

父と母に文句をつけただけではおさまらず、
「おじいちゃん、照子(=母)とそのダンナはこんなに無粋なんだよ!」
と、会ったことのない祖父に訴えたい気分だった。

昭和ヒトケタ生まれの両親は、
軍国少年少女時代を経て戦後急激にアメリカナイズされ、
ハワイアン・バンドをやったり、
『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーンに憧れるようなヒトたちだったから、
身の回りに当たり前にあった日本のものが古臭く見えてしかたなかったようだ。

私の実家と同じ敷地内にあった母方の本家の蔵が壊されたとき、
(母の家は江戸時代から続く米問屋だった)、
古いものがたくさん出てきたけれど、母は「全っ然興味がなかった」という。

祖父は、戦前から朝食にバター・トーストを食べるようなモダンな一面もあったと聞くが、
隠居後に自分と妻と末娘(=母/→祖父が現役時代の家族写真)が3人で住む家の襖紙に、
桂離宮と同じ藍と白の大きな格子柄を選ぶような数寄者だった。

その家というのが実は私の実家なのだけど、
現在病院で寝たきりの母は、娘時代から半世紀住んだその家に戻ることはないだろうし、
父はいわば波平とフネのいないマスオさんのようなもので、
結婚後半世紀住んだ今でも、自分で建てた家ではないからと愛着を持っていない。
築70年以上の平屋は、長年猫を住まわせていることもあって、
今ではすっかり傷んでしまった。

買い物カゴの話からずいぶんそれてしまったが、
ともあれ私の古いもの好きは祖父譲りの隔世遺伝らしい。

by penelope33 | 2008-03-25 00:44 | 古いもの・古びたもの | Comments(9)
Commented by るー at 2008-03-25 17:26 x
籠はいいですよね。どうしてだろう。理屈抜きに好きですね。

この籠もいいですが、お祖父様のエピソードもとてもいいお話ですね。
前、mixiでかな?言ったかもしれませんが、ペネさんのお話を読むと
いいコラムを読んだ後のような、じんわり感が広がります。

ハワイアン・バンド!かっこいいです。
Commented by penelope33 at 2008-03-25 19:42
「籠LOVE」な女子は多いですよね。
ルックスと実用の両方兼ね備えたスグレモノですものね。

母は元気だった頃、
いつか自分の家や忘れがたい身近な人たちのことを書きたいと言っていて、
私にも昔のことをよく話してくれました。
古いものの話を書いていると、よいことも悪いことも含めて、
そんな昔話がじわじわと頭に浮かんできます。

ハワイアン・バンド(笑)……バッキー白片の時代です。流行ってたみたいです。
父の若い頃の写真を見ると、結構トッポい(今日の死語?)奴だったみたいですね。
Commented by Awavi。 at 2008-03-25 23:07 x
ウチのおばあちゃんが使ってた(たまにお使いに持たされた)
籠はこんなオシャレじゃなかったなぁ。
泥付き葱が似合うような籠でした。
・・ペネさんの昔話好きです。
Commented by びっき☆ at 2008-03-25 23:18 x
最近、巷でもてはやされている 「エコバック」 なんかよりこっちの方がオシャレですよね~
最初から、夕飯のお買い物ならいいけど…ついおでに買い物だったら邪魔か^^;

江戸時代から続くような米問屋さんの蔵に一度入ってみたいものです。
Commented by penelope33 at 2008-03-25 23:51
> Awavi。さん

こんなカゴで買い物に出かけて、帰りはどうしてたんでしょうね?ナゾです。

昔話、差し障りのない範囲で、なるべくありのままに書こうと思うのですが、なかなか難しいですね。
先日も姉から「これはちょっと違う」と指摘があり訂正しました(笑)。

> びっき☆さん

でもきっとこのカゴの中にナイロンの手提袋か何か入れてたんじゃないでしょうかねー。

祖父は身内の借金の肩代わりをしてかなり苦労したということなので、
そんなにたいしたお宝はなかったと思いますが、
私も蔵の中、見てみたかったですね。
Commented by いしころ at 2008-03-28 19:20 x
わー
お花見の季節なのでこれを持って行ったら楽しいだろうなあなんて
想像しました。
こういう実用向きの大きなかごは持っていないので憧れます
でも実際持っていたら家で物入れにしてしまうんだろうなあ・・
移動は自転車かバイクだし・・・
Commented by penelope33 at 2008-03-28 21:31
相方からも「これってピクニックとかに持ってくんじゃないの?」と言われました。^^
東京で暮らしていると、平日の昼間に
「近所の公園でお茶を」っていうのも違和感ないんですけど、
実家のほうだとなんだか開放感がないんですよね。
子どもでも一緒じゃないと。土地柄でしょうかね……。
Commented by いしころ at 2008-04-03 19:11 x
東京のほうがなんだか落ち着かないかと思っていましたよ・・・

映画「めがね」のDVDに いろいろな方のインタビューがあって、
もたいさんが、島にいる時の方がぼーっとすることがないと言っていました。
土地自体が開放的だとのんびりする必要がないんでしょうか・・・?
わたしも、田舎にある実家では、あまり自然がどうの、花がどうの、と
思っていなかった気がします。普通すぎてでしょうか。
Commented by penelope33 at 2008-04-03 23:14
川越の市街地って、豊かな自然はもちろんないし、ホッと一息つける公園もなくて。
ハンパに都会でハンパに田舎なんです
(……いや、根っこは田舎ですね。「若い根っこの会」の本部もあるし。
あ、また今日の「死語」かな?)。


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