青蓮亭日記

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2008年 04月 03日

奇妙な柱時計

以下はZOOから取材した話……。

18のとき、冬休みにデパートのお歳暮配達のアルバイトをした。
普免を取ったばかりのウキウキ気楽な大学1年生。

ところがバイトの初日、持ち込みの家の車を配達中にぶつけてしまった。
バイト代はまるまる車の修理代に消えるはめに。
何やってんだ、オレ。何のためのバイト?

仕事も配達から仕分けに回され、
ボロくて寒い配送会社の倉庫で、情けない気持ちで立ち作業をしていた。

そんなとき倉庫のはじっこで、
壁から落ちたままの状態で埃だらけになったこの時計を見つけた。
筐体も壊れ、文字盤の文字も剥がれ落ちていたのを拾い集め、家に持ち帰った。

f0151592_22464494.jpg




幸いムーブメントには問題がなさそうだ。
ペンキで文字盤を白く、筐体は黒く塗った。
ゼンマイを巻くと、「ヴォーン、ヴォーン」と予想外に大きな音が筐体を鳴らし、
部屋中の空気をふるわせた。
すげー、いい音じゃん。

気が向くとゼンマイを巻き、他のことに気を取られるとしばらく放っておく。
23でひとり暮らしを始めたときにはこの時計も一緒に連れていった。
36のとき、今の家にも連れてきた。

去年、ボンヤリしていたカミさんが、
引き戸を開けたはずみに長押にかけたハンガーを持ち上げてしまい、
そのハンガーに持ち上げられた時計は、次の瞬間落ちてガシャンと音をたてて壊れた。

オレが大事にしてきた時計に何てことするんだバカヤロウ。
二度目の重傷。ガラスまで割れて……。

しばらく手をつける気になれなかったけど、
年末の大掃除のとき、こいつも直してやらなきゃと思い立ち、
バラバラの筐体とガラスを丁寧に継ぎ合わせた。

文字盤のペンキが剥がれかかっていたので、
思い切って全部削り取ると、銀ピカの鉄仮面みたいになった。
ピカールで磨いたりガス火で焼いたり。
カミさんは「なんか……ちょっと異様な感じ」と言っていたが、
オレは甘ったるいレトロ趣味なんてないからいいんだこれで。
何年かたてば落ち着いてくるだろう。

……というわけで、カスタマイズしまくりの奇妙な柱時計は、
今も我が家で鳴ったり鳴らなかったりしているのである。

by penelope33 | 2008-04-03 22:58 | ウチのもの | Comments(6)
Commented by びっき☆ at 2008-04-03 23:27 x
心が、ほんわかする話しでした。

いい夢が見れそうです。
おやすみなさい。
Commented by penelope33 at 2008-04-03 23:38
びっき☆さん、ありがとうございます。相方も喜んでいます。^^

おやすみなさい♪ (今日の夢には「チックとタック」が出てくるかも)。
Commented by N.Kojima at 2008-04-04 02:25 x
なんだか、文字盤が無い所が今風で
なんというか、不思議です。
Commented by penelope33 at 2008-04-04 02:53
“デザイン”とか“作品”というような“ネラった”ものではないですからね……。
なんとも形容しがたい“工作物”ですよね(笑)。
Commented by sa55t at 2008-04-04 03:52
実に面白いお話。こういう風に長く使えるモノが欲しいです。
あの時計がそうなるか?棺桶まで連れて行こう!
ZOO様に宜しく。
アラン・トレーシー
Commented by penelope33 at 2008-04-04 07:55
アラン・トレーシーさん、ありがとうございます。
例のブツ、最初からカンロクたっぷりです(結構重いです)。
相方も「コレはいいよな」と申しております。^^
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