青蓮亭日記

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2008年 05月 03日

ARABIA窯のココット皿

このブログにたびたび登場してきたARABIA(アラビア)窯は、
1873年、フィンランドのヘルシンキで産声を上げた。
この北欧らしからぬ「アラビア」という名前は、
最初の工場がヘルシンキ郊外にある「アラビア地区」に設立されたことに由来するという
(そこがなぜ「アラビア地区」と呼ばれていたかは不明……)。
当初はスウェーデンのRÖRSTRAND(ロールストランド)窯の傘下にあったが、
1916年に独立。
現代に至るまで、フィンランドの国民的な陶磁器メーカーとして親しまれている。

近年の日本の北欧ブームの中でも、
その実用性とデザイン性を兼ね備えた高い品質で、ひときわ人気のあるブランドといえる。

(口径:約7.8cm・高さ:約4.9cm/売約済)

ARABIA窯のココット皿_f0151592_2352304.jpg




しかし、ARABIAの130年以上の歴史が生み出した膨大な製品の中で、
日本で人気があるのはごく限られたシリーズのように見受けられる。
料理研究家やスタイリストといった人たちの著書の影響や、
人気の北欧雑貨店の紹介によるところが大きい。
それらは、現行品を始めとして、惜しまれながら近年廃番になったものや、
20世紀半ば以降の “ヴィンテージ品”。
通常は、貫入やシミなどの古色や使用痕のないものが求められる。

ARABIA窯のココット皿_f0151592_23531537.jpg


だから、一般的な “ARABIAファン”(< “洋食器好き”)と“古物好きな人々” の
重なる部分というのは、実は非常に少ないのではないかという気がする。
ここで “西洋アンティーク・ファン” ではなく “古物好き” という言葉を使ったのは、
アンティークの洋食器では、
「ミント(=未使用品やそれに近いもの)」というコンディションが最高とされるように、
“古色のあるものが好きな人々”=“西洋アンティーク・ファン”ではないからである
(寝不足のため、文章が錯綜していますが、文意は伝わるでしょうか……?)。

この使い込まれたココット皿(=小さな耐熱性の陶器製焼き型)は、
“古物”が好きな人やかなりコアなARABIAマニア向きといえるかも。

ARABIA窯のココット皿_f0151592_23532810.jpg


バックスタンプは1932-1949年に製造されたことを示している。
ARABIAといえば(HPの右上にある)いわゆる「王冠マーク」が広く愛されているが、
この「工場のマーク」は、数回変遷した「王冠マーク」以前のもの。
これはこれで、“工場萌え” 傾向にある私などは「おおっ!」と思ってしまう。
英国のインディーズ・レーベル「FACTORY」も思い出したりして。

by penelope33 | 2008-05-03 23:55 | 古いもの・古びたもの | Comments(0)
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