2008年 05月 16日

蕗と油揚げの煮びたし

このところ夕飯は饂飩奉行謹製の温かいつけ饂飩を黙々と食す我が家だったが、
昨日「赤カブ便」で大きな蕗が届いた。

主菜もロクにつくっていないのに、ドウシヨーメンドクサイ……という気もしたのだけど、
自ら進んで買うことのないこういった季節の食材こそ「赤カブ便」の醍醐味と思い直し、
甘辛く煮た伽羅蕗でなく薄味の煮つけが食べたくなったので、
初めて自分で煮てみることにした。

電子辞書の『ホトトギス俳句季題便覧』を “ひもとく” と、「蕗」は「夏五月」の季語。

f0151592_22292887.jpg




蕗の煮つけでなんとなく思い出したのが、小津安二郎監督の『秋日和』('60)のワンシーン。
笠智衆が北竜二の息子に土産として持たせた蕨の塩漬けのお裾分けにあずかった
中村伸郎が、「ありゃぁ、美味かった。しかし、どういうんでしょうなぁ。歳を取ると
段々ああいうものが美味くなってくる」「ひじきに人参、椎茸、切り干し、豆腐に油揚」と、
次々に精進料理のような食材の名前を挙げるシーンである。

私自身は幼い頃から、母に「今日のおかず、何がいい?」と聞かれると、
「切り干し!」と答えるようなシブい子どもだったのだけど、
ZOOはやはりこういった “枯れた” 品々は三十過ぎてから好むようになったという
(それでも切り干し大根はあまり好きではないらしい)。

中村伸郎のセリフに影響されたわけではないけれど、
蕗の味だけで勝負する(?)自信がなかったので、
旨味が増すように小さく切った油揚げと一緒に、ごく薄味でテキトーに煮た。

薄口醤油を使えば蕗の緑がもっときれいに仕上がっただろうけど、
まあまあおいしゅうございました。
ZOOが「油揚げって肉みたいだね」とポツリ。
昼にマクドナルドのハンバーガーを食べた人とは思えない意外な発言。
“中村伸郎化” が進んだのか?

蕗の葉のほうは、丸1日アクを抜くとかで、下煮したあと水につけたまま。
結局蕗と油揚げは酒肴に。また飽きもせず饂飩と薩摩揚げの夕飯だった。
手間がかかるわりにお腹がふくれないこういったおかずも、
お酒の当てにと思うからつくる気になったのかも。

器はごく平凡な昭和のガラス器。

f0151592_2230176.jpg


by penelope33 | 2008-05-16 22:43 | つれづれ | Comments(0)


<< 風 薫る      たいしたことはないようです。 >>