2008年 07月 03日
オランダ・マーストリヒト(Maastricht)窯の名門 Petrus Regout(ペトルス・レゴー)のオーヴァル(楕円)皿4点。 小振りで使いやすそうなサイズ(→後述)。 下の画像は、直径8cm程の小さめの桃を置いたところ。 創設者のPetrus Regoutは、1834年、マーストリヒトの地にまずガラス製品の会社を設立。 1836年に事業を拡大し、De Sphinx Pottreyを吸収。 白色硬質陶器や磁器の生産を始めた。 1836〜1870年にかけ、Regout社は芝居の一場面のような絵柄の、 青、黒、紫、赤といった単色刷りのイギリス風の硬質陶器製の食器を製造。 このような製品はイギリスやアメリカに輸出され、 “Amasone” “Mythology” “Pleasure Party” “Ruth & Boaz” “Willow”などと、 英語のシリーズ・タイトルの印が押された。 確かこの“Willow”というのは、 柳の木や東洋風の城などが描かれたシノワズリ風のデザインだったと思う。 この単色刷りの皿は江戸後期の日本にも渡り、珍重された。 1870年には多色刷りの技術が導入された。 1878年に初代のPetrus Regout氏が亡くなり、息子たちが会社を再編。 スフィンクスをトレードマークとし、バックスタンプもこのマークになった。 原典を失念したが、 確か1931年までこのマークが使われていたと何かで読んだことがある。 1958年には、後発ながら急成長した同じマーストリヒトの Société Céramique(ソシエテ・セラミック)社がRegout社を統合した。 Regout社の品は、こちらとこちらにも掲載しております(売約済ですが)。 今回のオーヴァル皿はおそらく1910〜1930年頃のもの(いずれも多少使用痕あり)。 サイズや形状に微妙な違いがあるので、以下を御参照ください。 A. 縦:約13.1cm・横24.1cm・厚さ:約2.7cm。高台の中央が峰のように高くなっている。 他の3枚と比較してこの1枚だけクリーム色っぽい。 縁などに少し染みがあるが、その分古色も。 バックスタンプは赤(売約済)。 B & C. 縦:約14cm・横:約24.5cm・厚さ:約2.5cm。 同じサイズで2枚ともよいコンディション。高台内に目跡がある。 他の2枚に比べて厚手でずっしりした感じ。 バックスタンプは青(売約済)。 D:縦:13.7cm・横:24.2cm・厚さ:約2.5cm。 B & Cよりやや薄手で軽い。表側はよいコンディション。 裏側にトリアシ状のニュウあり。ただし厚手なので御使用に問題はないかと。 バックスタンプは黒で、半分消えかかっている(売約済)。 画像だと、なんだか餃子を盛る皿のように見えてしまうかもしれないが( ; ; )、 丈夫で、あまり古色がない分気安く使え、 それでいて現代の業務用皿などには絶対ない「格」がある。 本当は自分で使いたい……。
by penelope33
| 2008-07-03 21:38
| 古いもの・古びたもの
|
Comments(2)
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enbi(妻)
at 2008-07-25 01:52
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この写真いいですね。つつましくひっそりと、でも力いっぱい輝いている桃。生命の主張を感じます(たぶんこの桃は♀です)。白皿の質感と桃の質感との相性もいいですね。
お皿を作ったペトルス・レゴー社の拡大時期はまさにウィーン体制期ですね。平和と安定は文化を育てる、わけですね。
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penelope33 at 2008-07-25 02:20
中学生の頃、暑くても寒くても真っ赤になる私の顔を見た友人から、
「◯◯さんのホッペ、腐った桃みたいだね」と言われたことを思い出しました……。 陶磁器の歴史は、ある国や地域の政治や文化の歴史そのものですね。 大学受験が国語と英語と実技だけだったので、 世界史も日本史も全然アタマに残っていないのがイタいですね (『ベルばら』も『あさきゆめみし』も読んでいませんし……)。 山川出版社の『世界史総合図録』『日本史総合図録』を薦められて買い、 ときどきひもといてはいるのですが。 |
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