2008年 10月 24日
今日は所用で巣鴨へ。 帰りしな、果物屋の店先で大きな柘榴(ざくろ)が赤い宝石のようにつややかな粒々をのぞかせているのを見て、 思わず買ってしまった。 家に持ち帰ってみると 「CALIFORNIA POMEGRANATE」という小さなシールが貼ってあった。 ざっくり切ってこのオーヴァル皿(A)に載せてみた。 この赤い実を見た瞬間から、 『ざくろの色』(英題『The Colour Of Pomegranates』)という 途方もなく美しい夢のような映画のイメージが頭を駆け巡っている。 『ざくろの色』('69/下はDVDジャケット)は、 旧ソ連邦グルジアの首都トビリシに生まれたアルメニア人・ セルゲイ・パラジャーノフ監督(1924-1990)の代表作。 18世紀・アルメニアの詩人「サヤト・ノヴァ」の生涯を、 エキゾティシズムあふれる色彩とイメージと音で綴った一篇の映像詩である。 オリジナルは詩人と同名の『サヤト・ノヴァ』('68)というタイトルだったが、 通常の映画話法を大胆に逸脱した前衛性ゆえに、 当局から“反革命的・退廃的な危険分子”とのレッテルを貼られ、 フィルムを没収された。 現存する73分版は欠落部分のある再編集版。 パラジャーノフは、 長編処女作『火の馬』('64)で世界的な注目を集めながら、 1974年から4年間投獄された他、生涯に渡って弾圧を受け続けたが、 アルメニア・アゼルバイジャン・グルジア・ロシアという異なる民族文化を昇華した たった4本の長編作品で、世界の映画史にその名を刻みつけた巨匠である。 日本では1991年に『パラジャーノフ祭』として、 『ざくろの色』、『アシク・ケリブ』('88)、『スラム砦の伝説』('84)が、 今はなきシネ・ヴィヴァン六本木とキネカ錦糸町の2館で 連続ロードショー公開された(配給:シネセゾン)。 上の画像はそのときのパンフレット。 当時 “ソビエト映画専門館” であった「キネカ錦糸町」でアルバイトをしていた私は、 友人・知人に「ソ連映画?じゃあ、タルコフスキーとか?」と言われるたびに、 「あれは配給会社が違うので……(モゴモゴ)」と言葉を濁すしかなかったのだけど、 この『パラジャーノフ祭』のときはとても誇らしい気持ちだったのを思い出す (もっともシネフィルの殿堂であったシネ・ヴィヴァン側は 「なんで錦糸町と2館でやるの?」という空気だったらしいが……)。
by penelope33
| 2008-10-24 23:25
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Comments(12)
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寝子
at 2008-10-25 00:38
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こんばんは。
同じ系統、という言葉で括っていいのかどうか微妙ですが ターセム監督の『落下の王国』を先日観て来たばかりですので、 『ざくろの色』で、思わず「おおう」と。 わたくし、随分前に友人と観た憶えがあるようなないような。 なんといいますか、果たしてその記憶が夢(!)なのか現なのか未だに判別出来ずに居るのです。 なので、今一度じっくり観てみたい一作なのでありました。
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penelope33 at 2008-10-25 01:24
> 寝子さん
こんばんは。 ターセム監督、ひさびさの長編劇映画を撮っていたのですねー (ここのところ新聞を読んでいなかったのですっかり疎くなってました……)。 『ざくろの色』、ホントに「夢か現か……」という世界ですよね。 VHSは持っているのですが、 やっぱりこれは劇場で息をのむようにして観たいです。
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penelope33 at 2008-10-25 01:37
> maticoさん
先日は失礼いたしました……。 今日はずっと外出してまして、 「ブログ、休んじゃおーかなー」とも思ったのですが、 パックリ割れた柘榴を見て「なんとか、これを撮りたい!」という気になりまして。 柘榴酒!きれいな色でしょうねー。 お菓子といい、果実酒といい、maticoさんのように丁寧な手仕事をされていたら、 私のブログももっと豊かな世界になるように思うのですが、 なんか私、基本的にモノグサなんですよね……。^^;
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au_petit_bonheur at 2008-10-25 05:34
おはようございます!
柘榴、昨日よそのお庭にいくつも立派なのがなっていて、 なんとか、「下さい」って言えないものかと 眺めていたところでした。 小石川に住んでいたときは、荒れ果てた空き地に木が一本 あって、もらえたんだけれど。 小さめの楕円のお皿っていうのも、盛り映えがしますね。 映画、色が好みな予感。 ↓おいしそう、今日やってみようと思っています。 うちは、みんな大食いなので、白菜 1/2〜1個くらい1度で食べきりなのだ。 常備菜が不可能な家族なのです。
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penelope33 at 2008-10-25 07:44
プチさん、おはようございます。
H山の前はなんと小石川!? いつもいいところにお住まいでうらやましい……。 映画、衣装と美術が本当に素晴らしいんです。 このお皿、自分でも1枚ほしいと思うのですが、引き続き発売中であります。 3人で白菜1個を1度で消費ってすごいですねぇ。(@@;
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g0316 at 2008-10-25 18:15
柘榴・・・・産まれてから物心ついて初めて自ら<好き!>と
思ったフルーツです♪ ・・・・って、今、柘榴ってフルーツでいいんだったよね!?と不安になり ウィキ見たら・・・イギリスでの花言葉は<馬鹿>だって!! ひどい言われよう・・・・驚きました。。 ガルシア・ロルカの詩集にも出てくるんですが なんだか柘榴というとスペイン・グラナダを思い出します。。 なんかあの雰囲気は絶対日本には無い雰囲気なので。 柘榴は美味しい×面倒=大好き。 です。
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penelope33 at 2008-10-25 21:35
garouさん、やっぱり子どもの頃から感性が鋭かったんですねぇ。
私が子どもの頃隣りの祖父母の家の前になった 小さい柘榴を食べたときの記憶といえば、 「なんか酸っぱかった」だけですよ(笑)。 思い出すということは、グラナダに行ったことがあるんですね。 ヨーロッパの国々、いろいろと旅したんでしょうか……? 柘榴って原産地がイランだそうですが、アゼルバイジャンとかグラナダとか、 イスラム教文化の香りをまとう果実ですよね。
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au_petit_bonheur at 2008-10-25 23:25
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penelope33 at 2008-10-26 00:01
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sizanne7 at 2008-10-27 19:14
「ざくろの色」見ましたよ。なつかしーー!
きれいな色彩、日本とは違う赤や水色の色彩を思い出しました。 ざくろは子供の頃読んだ漫画で「ザクロの実は血の味がする」という台詞のイメージが強くって、大人になるまで食べるのが怖かったです。 今はのみ屋さんで「若さの泉 ザクロジュース」を注文するほど好きな味です!透明な味がしますよね!
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penelope33 at 2008-10-27 20:38
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古道具屋「ロータス・ブルー(青蓮亭)」店主のつれづれ。家族は映像ディレクターの相方ZOO(2021年9月13日、横行結腸がん+肝転移により58歳で逝去)とキジトラ猫のヤマコ(♀/2022年9月23日、16歳で他界)。ブログ主は、膠原病類縁疾患の『シェーグレン症候群』のため療養中です。 by 青蓮亭 カレンダー
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