青蓮亭日記

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2009年 03月 31日

BECK @ Zepp Tokyo

26日の夕方、新宿で喪服他の荷物をZOOに渡し、山手線に乗った。

24日にチケットをチラッと見ただけだった私は、この時点で二重の勘違いをしていて、
会場はSHIBUYA-AX、場所は渋谷・円山町のON AIRあたりと思い込み、渋谷で降りてしまった。

しばらく歩いて「ん?」とチケットを見直し、
「Zepp Tokyo……ってどこだっけ?お台場?」と気づいたときには、
もうこのまま家に帰ってしまおうかと思ったが、
母親の葬式の日の夜に無理矢理出かけ、人混みをウロウロするだけで帰ったら
あまりに後味が悪すぎるだろうと、トボトボと渋谷駅に引き返した。

イベンターに電話して「Zepp Tokyo」の最寄り駅が「東京テレポート駅」と聞き、
「『ゆりかもめ』?『りんかい線』?」と思いつつ、とりあえず山手線・内回りに乗り込んだ。

車内の路線図で「りんかい線」で行くと意外と近いことがわかり、
一昨年のベックの来日公演を観にいった会場だということも思い出した。
渋谷も俗な街だけれど、あの薄っぺらで空虚なお台場という場所に行くのかとげんなり。

とはいえ、スタンディングでなく、2Fの椅子席のチケットを取っていてつくづくよかった……。

駅に降り、ショッピングモールを通りかかったところで、
「そういえば、今日は『ゆらゆら帝国』がオープニングアクト(前座)なんだ」と気がつく。

いかに平常心を失ってやみくもに動いていたことか。

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2Fの通路で、演奏中のゆらゆら帝国を立ち見する。
この人たちのことは初見で音も聞いたことがなかったけれど、
ベース、ギター、ドラムスの3人によるフリーキーな轟音サウンドと、
そのサウンドの血肉となっている明瞭な日本語詞のヴォーカルで、ただならぬ存在感。

7時半に客電がつき、一度席に座り、コートを置いてドリンクを買いに行く。
長蛇の列に一瞬引いたが、意外に早く順番が回って来て、ビールをもらう。

ステージから離れながらもド真ん中の場所でビールを飲みながら、
先日「お骨の一部を所縁の海に撒きたい」という兄の言葉を伝えたときにZOOが言った、
「そんなことしなくても、お母さん、とっくに自由にいろんなとこを飛び回ってるよ」
という言葉を、ボンヤリと思い出していた。

こんな日に、こんなトシになってもひとりでライヴに出かけるムスメのところにも、
母の魂は飛んでくるのだろうか……?

後でネットで情報を見ると、ベックのライヴの開演まで50分もあったそうだ。
立ち見だったら気が遠くなっていただろう。

アルバム『Odelay』の『Devils Haircut』で幕を開けたステージは、
ベック以下のメンバーのマリオネットが “共演” した前回の公演のような賑やかなギミックはなく、
背後に数十体の白い男性マネキンが並び、
そのまた後ろにびっしりと埋め込まれた小さなLEDライトが、
曲に合わせて液晶画面のようにドット模様を浮かび上がらせるという、比較的シンプルなもの。

センター分けした前髪だけ長い髪型は、
『地球に落ちて来た男』の頃のデヴィッド・ボウイを思い出させる
(母はボウイが好きだった……)。

そういえば、ブルース、HIP HOP、カントリー、ソウル、ファンク、クラブ・ミュージックと、
さまざまな音楽の “おいしいとこどり” をしつつ変幻自在にスタイルを変え、
しかも常にエクスペリメンタルであるという点にボウイに通じる才気を感じる。

アルバムごとにコンセプチュアルにキャラクターやスタイルを変えていたボウイに対し、
より自然なハイブリッド感覚と骨太な音楽性は、
高名なミュージシャン&アレンジャーを父に持ち、
あらゆる音楽のスタイルが出尽くした時代に、
ビジュアルアーティストの母と祖父のもと、アメリカとヨーロッパを行き来して育ったゆえか。

確か17歳くらいから、ギター1本で変テコなフォーク&ブルースをやりながら
ドサ回りをしていたと、昔インタヴューで読んだことがある。

ユルくて緻密、土着的でありながら先鋭的
(初期のアコースティック・アルバムを聴いたときには、
一瞬「これってライ・クーダー……?」と思ったものだ)。
どんなスタイルを取ってもにじみ出るチャーミングなキャラクターとセンス、
そして素朴でいながら印象深いあの声。

小柄で童顔の、カリスマというにはあまりに飄々として肩の力の抜けたこの人のつくる音楽を、
たぶん私はこれからも聴き続けていくのだろう。

結構曲数があったと思ったら、アンコール2曲を含め全29曲も演ったとか。
前回に続き、私が好きな『Sea Change』という
地味なアルバムの曲を演奏しなかったのは残念だったけれど、
無理して出かけた甲斐はそれなりにあったと思う。

家に帰ると、階段の上からヤマコがしばらくじいっと私の顔をながめていた。

by penelope33 | 2009-03-31 01:32 | 観る・聴く・読む | Comments(8)
Commented by sa55t at 2009-03-31 04:19
「薄っぺらで空虚なお台場」が粉砕されます。気持ちいいですよ。
OPローズダスト、福井晴敏です。
Commented by penelope33 at 2009-03-31 10:11
Amazonのレヴューで「ローズダスト(テロリスト)がそこまで臨海
副都心を破壊する理由に感情移入できない」とありましたが、
読む前からナンですけど、私は感情移入できそうな気がします(笑)。
Commented by sa55t at 2009-03-31 14:09
サンパルサン、賛成!!
で、福井さんはやはり「亡国のイージス」で彼の富国強兵?論は盛りを過ぎました。もし読まれるのであればイージスか12YOが先でしょう。
台場ぶっ飛ばすのはその後でもよろしいかと。
Commented by penelope33 at 2009-03-31 18:42
サンバルサンって、薬の……?
ちなみに私はペニシリンの錠剤で顔がパンパンにふくれるアレルギーを起こし、
注射だったら死んでたかも……と言われた経験があります。 ^^;
Commented at 2009-04-01 02:47
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by penelope33 at 2009-04-01 15:41
ナルホド。
風邪のときは他の抗生物質を使ってるんですけどね。
Commented by 笑顔 at 2009-11-17 09:01 x
ZEPP TOKYOの2Fどうでした?
見やすかったですか?
Commented by penelope33 at 2009-11-17 15:05
ステージからの距離はかなりあるので、
ステージ上の人の表情などはよく見えませんが、
座席の傾斜がありますので、
全体の様子は比較的見やすかったように思います
(ちなみに私はど真ん中の席でした)。

オペラグラスを持っていくといいかもしれませんね。
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