青蓮亭日記

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2009年 06月 16日

『裸形のデザイン ―O氏のアルミニューム日用品コレクション―』

『裸形のデザイン ―O氏のアルミニューム日用品コレクション―』
2009年7月17日(金)→ 8月16日(日)/11:00~19:00

会場/CLASKA 3F Gallery & Shop “DO”
(東京都目黒区中央町1-3-18 /お問い合わせ先:03-3419-8124)


私がO氏と初めてお会いしたのは、2007年秋のことでした。

青山のU店の店主さんが初めて大江戸骨董市に出店され、
お友達やお店の常連さんらしき方々が、
ちょうど私の背中側で談笑しておられたのですが、
O氏はその輪の中からひょいと抜けて私の “店” に立ち寄られました。

琺瑯のレンゲや白いやきものが並んでいるのを御覧になったO氏は、
他の何人もの業者さんに出したのと同じ “宿題” を、
「いえね、そんなのがもしあったらお願いしますね」と、
あくまでも穏やかな口調で私にも課したのです。

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やがて、他の業者さんや御本人からお話をうかがううちに、
O氏が、李朝や古唐津の高価な骨董品から、
日本の古い琺瑯製品(主にリムのない白色のもの)や白磁のやきもの、
戦前から戦後まもない頃につくられたアルミニューム製品を集められていることを知りました。

早稲田のP店のSさんに初めてお会いして、
「白磁とアルミがお好きなんですか?」とお聞きした際、
「古いアルミ素材の製品を資料として集めているデザイナーの方から頼まれて」と
うかがったのですが、後にそれはO氏のことだとわかりました。

また、恵比寿のT店の店主さんが企画し、
野田琺瑯が商品化した琺瑯皿のアイディアの元になったのは、
デルフトの骨董のお皿とリムの広い日本の琺瑯皿ですが、
その琺瑯皿の持ち主はO氏なのだそうです。

2006年に東京・渋谷の松濤美術館で開かれた『骨董誕生』という企画展でも、
O氏のコレクションが数点貸し出されたと聞きます。

目白の “カリスマ”、
青山や麻布十番や恵比寿といった骨董界の “ニューウェイヴ” 、“新感覚派”
(もちろん “正当派” の店でもいろいろ買われてきたわけですが)
と呼ばれる店に通い、店主と相互に刺激し合い、気に入った品は惜しげなく購入してきた
“コレクター” にして “パトロン” の数十年の蒐集の成果が今明かされるのです。
なんとも胸の躍る話ではありませんか!

私自身いくつかの “宿題” をいただき、
最初は「そんなもの、あるのかなぁ〜?」と思いつつ、
自分なりにアンテナを張ってみると、これがあるんですね〜。
まさに「求めよ。さらば与えられん」。

しかしO氏の “宿題” に100点満点の解答はなく、
道具屋はさらに “宿題” を抱え続けることになるのです
(いや、単に私の解答が “模範解答” じゃなかっただけなのか……) 。

近年は、有名店でセレクトされた品を買うだけでなく、
骨董市で掘り出し物を見つける楽しさに目覚めたO氏。
あちこちの市で目撃され、話題を振りまいております。

作り手の妙なエゴや作為のない「裸形のデザイン」、
一介の職人が当時の “新素材” を手にして作った素直な形、あるいは不思議な道具。
今回の展覧会では、そういったモノたちがたくさん見られると思います。

骨董、古道具、プロダクトデザイン、生活文化史、暮らしの道具、クラフト等々に
御興味をお持ちの方、あ、もちろんアルミ好き・琺瑯好き・白磁好き・
セルロイド好きの方も、必見の展覧会です。

でも7月17日って、骨董ジャンボリーの初日だし、
私は柳橋のルーサイト ギャラリーの骨董市の前日。
この数日間は忙しくなりそうです……。

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展覧会の様子はこちらに。

本になった『裸形のデザイン』(ラトルズ 刊)の書評はこちらに。

2010年9月10日(金)〜29日(水)に開催された
「大西静二+澄 敬一・二人の試み『裸形のデザイン』」展の御案内はこちらに。

by penelope33 | 2009-06-16 22:01 | お知らせ | Comments(2)
Commented by 澄 敬一 at 2009-06-16 23:37 x
9月中旬 ラトルズから本も出版の予定です。
グラフィック・デザイン及び監修は、
折形デザイン研究所の山口信博さんです。
Commented by penelope33 at 2009-06-16 23:43
そうですか、それはよかった!
楽しみにしております。 ^^
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