青蓮亭日記

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2010年 02月 10日

「ニコニコ絣」とは〜『図説 着物柄にみる戦争』より

気になっていた『図説 着物柄にみる戦争』を購入
(2007年/乾 淑子 編著/インパクト出版会 刊)。
大変な労作。
豊富な図版に圧倒され、それぞれの着物柄の解説も興味深い。
「ニコニコ絣」とは〜『図説 着物柄にみる戦争』より_f0151592_1011987.jpg




ナゾの「ニコニコ絣」については以下のような解説があったので、
引用させていただく。

 ニコニコ絣とは元々、一メーカーが付けたブランド名であったが、
いつの間にか子供向けの藍色以外の木綿絣一般を指し示す言葉になってしまった。
絣とは糸を括って防染し、それを染色液に浸けて染めたものを織り上げて文様を出す技法である。
その手間を省いてプリントで絣のような雰囲気を出したものが子供向けの柄で製作され、
その際に藍色よりも茶色系統の二、三色を用いることが多かった。
これを真似た一連の商品をニコニコ絣と言い、昭和30年代まで一般に売られていた。

 女児用にはバラ、百合などのハイカラな花、男児用にはスポーツ、乗り物、漫画などが
描かれたものが多く、安価であったために藍色の絣を買えない場合に購めることもあったが、
ニコニコ絣独特の味を好む層も存在した。

 また、安価であるという特質を利用して、羽裏として用いられることもあった。


この動物柄の布も「ニコニコ絣」だったのね……。
「ニコニコ絣」とは〜『図説 着物柄にみる戦争』より_f0151592_95859100.jpg


by penelope33 | 2010-02-10 10:01 | 観る・聴く・読む | Comments(6)
Commented by au_petit_bonheur at 2010-02-10 11:07
そうだったんだ〜。ありがとうございました。
この本、アマゾンで?
Commented by penelope33 at 2010-02-10 11:13
はい、ポチッと。
こういう本って「いつか、いつか」と思っているうちに
古書市場で高くなってしまうことが多いので。
内容の濃さを考えれば安いと思います(いつも金欠の私ですがw)。
Commented by さわだ at 2010-02-11 17:01 x
こんにちは。この先生のコレクションの展示を見に行ったことが
あります。数年前に港区の女性センターみたいなところで実物の
展示があったのです。よくやるなあ、という感じも含めて
ものすごく面白かったです。
Commented by penelope33 at 2010-02-11 19:43
さわださん、こんにちは。
「すごいなぁ、よくやるなぁ……」って、私も思いましたよ。

美術史専攻の乾さんは、
明治から昭和20年までの近現代史を学び直すことから始め、
戦争美術に関する主要論文を約300編取り寄せて読み、
染色について学び(元々着物が身近な環境に育った方のようですね……)、
ミリタリー通の方々に教えを乞うたそうです。

例えば『化繊茄子紺地戦車軍艦柄襦袢』という品には、
「八九式戦車、九二式艦上攻撃機、重巡洋艦、三八式歩兵銃などが
描かれている……」等々と、ホントに事細かな調査をされています。
また、それだけ軍事兵器が
リアルに描かれているということにも驚きました。

以下のページで、札幌・紀伊國屋ギャラリーでの展示の様子が見られます。
http://www.htokai.com/kimono/sonogo/sonogo.html
Commented by muu at 2010-02-11 22:10 x
この本を基にしたETV特集「戦争を着た時代」を観ました。
興味深かったです。
しかし澤地久枝の「母親がこういう柄を子供に着せてしまう、誰もが戦争に熱狂したこの時代」的な発言に、うちの母は
「だって呉服屋がこんな柄しか持って来ないんだからしょうがないじゃない」と言っていました。
Commented by penelope33 at 2010-02-11 23:44
あ、やっぱりNHKでも取り上げてましたか。
ウチ、最近、全然テレビを観てなくて……。

澤地久枝さんは1930年生まれだそうで、
終戦時に旧 満州国・吉林にいて難民生活をしたとかで、
非常に過酷な体験をされたことと思いますが、
1928年生まれながら、空襲のなかった川越で育った母なんかは、
「戦争中っていっても結構のんきだった」みたいなことを言ってましたね。

その姉や兄たちは、やはり中国や朝鮮から命からがら逃れてきたそうで、
中国難民孤児問題は人ごとではなかったと聞きました。
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