『ちいさいおうち』の初版本(昭和29年4月15日第1刷)。
訳者は先月101歳で亡くなった児童文学作家・翻訳家の石井桃子。
この時代の翻訳絵本の初版本にどれほどの価値があるのかわからないが、
思わず購入したのは、子どもの頃親しんだ数少ない絵本のひとつだったから。
(御売約)
原作は、1942年にアメリカの絵本作家・デザイナーの
ヴァージニア・リー・バートン(Virginia Lee Burton/1909-1968)が発表した
『The Little House』。
このアメリカを代表する絵本作家については、
『ヴァージニア・リー・バートン ―「ちいさいおうち」の作者の素顔』という伝記も出版されている。
1954(昭和29)年の初版から版を重ね、文字組みは縦組みから横組みに、
石井桃子さんの訳も推敲を重ね、微妙に変化してきたという。
そのあたりのことはこちらのブログに詳しいので御興味のある方はどうぞ。
田舎の小さな家が都市化の波に飲み込まれ廃屋となるが、
施主の子孫によって郊外に移築され蘇るといった内容で、
誕生後60年以上経た今も全く古びることなく、むしろ今日こそ読まれるべき本。
美しく優しいタッチの絵と独特の明朝体の文字(初版時はまだ活版印刷だった?)、
心に響くシンプルな翻訳で、特に大人の方に改めて読んでいただきたいと思った。
また仕事柄、「人に住まれなくなった家=使われなくなったモノ」というものに
人一倍感情移入してしまうところがあり、
「ちいさいおうち」のたどる運命に思わず一喜一憂してしまった。
全40ページの中から数ページの画像を。

四季折々の風景の描写が美しく、ばら色の小さな家がとても気持ちよさそうだ。

初めて見る自動車。大勢の人々。道路工事が始まる。

学校やアパート、倉庫や商店などが次々に建てられる。
ついに住む人がいなくなってしまう。
やがてこれらの建物も壊され、高層ビルが立ち並ぶ。

施主の「まごの まごの そのまた まご」の女性に救われる
(ここで思わず「じわっ」ときてしまった……)。

郊外へお引っ越し。いわゆる “古民家移築” ですな。

きれいにしてもらって、「まごの まごの そのまた まご」の女性の家族が住むことに。


余談ですが、
「太陽=ひなぎく(デイジー)」のイメージについて、こんな雑文を書いたことがある。
いつも拝見しています。
これと全く同じ本をやはり持っていました。字が読めない幼稚園に上がる前から見ていた本で、懐かしさで一杯です。
この本のことをすっかり忘れていましたので
何だか・・・今夜は眠れないくらい感動しました。
ありがとうございます。
デイジーの裏表紙まで大好きです。
私も最初は懐かしさから手に取ったのですが、
改めて読んでみて、ノスタルジー以上に「これはすごい……」と思いまして。
きっと子どもの頃にお読みになった方も多いだろうとも思い、
だからこそ表紙だけではなく、
“マテリアル”としての本全体を改めて御覧いただきたいと
(著作権上の問題は、“紹介”ということで目をつむってもらおうかと……^^;)。
御紹介した甲斐がありました。
こちらこそ、本当にありがとうございました。
ほんっとに気持ちの片隅にありました。
ご多分にもれず絵本と言うとトラのバターの話が出て来てしまいますが、
これの方が読み返した回数は多かったかも…。
巡り巡って今なお古い列車が好きな原点かもしれません。
発掘にホントに感謝です!
この本の鉄道の絵も心惹かれるものがありますが、
とうさいさん、同じ作者の『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』は御存知ですか?
私は未読なんですが、この表紙を見ただけでなんだかわくわくしますよ。
http://www.amazon.co.jp/いたずらきかんしゃちゅうちゅう-世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本-バージニア・リー・バートン/dp/4834000044/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1210302272&sr=1-1
でもワタシはコレは読んでいないかな…ページをめくったら
案外「コレは!」って思い出すかもしれません。
ところでamazonのリンクは「www.~jp/dp/4834000044/」という風に
この場合は「dp/」とその次に来るカタログNo.だけでOKですよ。(豆知識)
(本とCD以外のモノによっては「dp」でない場合もあります)
「Choo Choo」って日本の「シュッポシュッポ」みたいな
お決まりの擬音表現なんだそうです(豆知識)。
Amazonの豆知識、ありがとうございます。
こんなに長ったらしくコピペしないでいいんですね!
この本は私がたぶん一番読んだ本です。
当時習っていたピアノの先生のお宅にこの岩波?のシリーズがあり、自分のレッスン迄の待ち時間にこれとちび黒サンボを何百回も読みました。良い本です。
(なんと申し上げてよいものか……)。
ピアノ、子どもの頃に習っていらしたのですね
(ピアノを弾ける男の子ってカッコイイですね)。
「みんなこの本が好きだったんだなぁ……」と実感しています。
友人にもらいました。
とてもとても好きな本です。
初版はやっぱり色が良いですね〜
ちょっぴり色あせたかんじも。
やはりみなさん読まれているのですね!
本も扱うのですか??
コメントをいただき、ありがとうございます。
この本、エコロジー的な視点からまた見直されているようですね。
このブログ、またお気が向かれましたらときどきお立ち寄りくださいね。
絵本の読み語りに関するブログを書いております、Topazといいます。
最近の読み語りで「ちいさいおうち」を使いまして、その記録に、この「ちいさいおうち」初版本のページをリンクさせていただきました。
よろしくお願いします。
懐かしく心惹かれるモノコトが綴られている様子。
また遊びに来ます。
このブログに目を留めていただき、ありがとうございます。
絵本の読み語りとはすばらしいボランティアですね!
今の子どもたちの世界はものすごく窮屈そうで、
「みんなと同じじゃなくてもいいんだよ」とか、
いろいろ言ってあげたいことがあるのですが、なかなか機会がなくて……。
私にできるのは、もう少しオトナになった人に
古いもののよさを見せてあげることくらいでしょうか……。^^
またぜひ遊びにいらしてくださいね!

